広がる霊園の可能性

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彼らの日常生活に、花はなくてはならないものである。 よく夕方の電車で、花を持っているサラリーマンを見かける。
花屋の屋台は便利である上に、イギリス人の生活習慣に合ったものだから、何も問題はない。 見ていて潤いさえ感じられるのである。
ただ、同じ花屋でも、繁華街で車の列が赤信号で止まっている時に、車の側まで来て赤いバラか何かを売りつけようとする人たちがいる。 それは花屋ではなく、花売りと呼ぶべきだろう。

あれはどうもいい気持ちがしない。 押しつけがましいし、第一、車道の中まで入って来るのは危険である。
誰かがその花を買っているのを見たことがないから、それほど売れはしないのであろう。 花屋の屋台にはイギリスらしい情緒を感じるが、こうした押し売り的な花売りには、寒々としたものしか感じられない。
ただ、彼らの中には、アフリカや東欧からの移民が多く含まれているはずであり、違法居住者イギリスの春は遅い。 しかし、日本より北に位置するこの国では、二月頃から日の暮れる時刻がどんどんと延びてきて、春の到来を予感させる。
この季節を嫌いな人は多分いないだろう。 植物の中で、第一の季節の使者をあげるなら、それは水仙である。
真っ先に小さい、鋭い芽を吹きあげる。 それが日々大きくなっていくことが、見た目にはっきりと分かる。
やがて、あざやかな黄色の花が一斉に開く。 水仙の花群が咲き乱れる様は見事だ。

イギリスの風景としては似合わないくらいだ。 「美しき嘘」とはそのあたりの雰囲気を表している。
意外なことに、イギリスには梅も桜もある。 開花には温度よりも日照時間が関係するようで、イギリスの桜もあるいは交じっているかも知れない。
生きるために、彼らも必死なのだ。 それを思うと、やや複雑な気持ちになる。
寒さがまだきびしい二月末に梅の花が咲き、やがて、桜の花も開く。 当地の桜は花びらが小さく、満開になってもソメイヨシノのように華やかではない。
むしろ、何となく寂しげでさえある。 これらの桜にも幾種類かあるようで、花びらが白いものもあれば薄い紅色や濃い紅色のものもある。
それが路傍や公園に、無造作にある。 その数は少なくない。
もうひとつ、日本の桜との違いは、イギリスの桜は花をつけている期間が長いということである。 なかなか散らない。


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